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Saturday, July 17, 2004

浩司と駒野、五輪代表に選出。

会見では言いませんでしたが。

君たちは、日本中すべての五輪を目指した若者の想いを背負って、アテネのピッチに立つんだ。
そのことを決して忘れてはいけない。
広島にだって、バックアップになった林、予備登録されたが選考外となったカズ、
他にも八田、中山、上野、ハンジェ(国籍は違うが)、茂木、西村、田中、大久保、木村、高木、河原……。
彼らも、五輪をあきらめざるをえなかった選手たちだ。
もちろん、彼らなりの想いは、計り知れない。

そういう重荷をあえて感じて、プレッシャーを体中にあびて、
その上で、自分のプレイを表現してほしい。


デビューした頃、「カズの弟」としてしか見てもらえず、
街ではカズと間違えられてサインを求められた浩司。
「カズができるなら俺も」と思いながら試合に出ることができず、
「僕はどこがあいつと違うのか」と悩んでいた浩司。
鮮烈なプロ初ゴールを決め、ヴァレリーが先発起用を決めた途端に足を骨折。
いつもチャンスになるとケガに襲われ、自分の身の不運を嘆いていた浩司。
ルーキー・イヤーから3年連続して大けがを負い、入院していた浩司。
いつも代表に行く駒野とカズの後ろ姿を見つめ続け、
「僕はチームで頑張る」が口癖だった浩司。
明るい笑顔の裏にいつも大きな悩みを抱え、
J2での戦いでは一人では背負いきれないほどの大きなものを背負い、
苦しみもがいていたことを、僕は知っている。

おめでとう。お父さんもお母さんも、ほっとしているだろう。


「ユースに行くなら、寮があるところがいい。通いだとお母さんに苦労をかける」。
駒野が広島ユースを選んだ大きな理由が、これだった。
決して外向的な性格ではなく、
寮でもテレビを見ている時間が長かった駒野だが、
その実力は誰もが認め、カズも浩司も「完ぺきな選手」と尊敬していた。
高校3年の頃、天皇杯で沢田謙太郎がケガをした時、
「どうして僕が謙太郎さんのかわりに試合に出られないんだ」と怒った、
そんな気の強さも、駒野は持っていた。
全治10ヶ月、アテネ五輪絶望、というショックに加え、
「このままほっておけば、死の危険もある」と医師に告げられた、
エコノミークラス症候群。
ダブルの苦しみが、駒野を絶望へと導いた。
でも、そこから、彼は生還した。
10ヶ月、の診断は8ヶ月に短縮され、
胸にメスを入れたとは思えないほど、
無尽蔵のスタミナを誇っている。

駒野、おめでとう。
ケガをした君を、粘り強く支えてくれたサポーターに対する感謝を、
会見で口にしたね。きっと本音だったんだろう。
でも、その感謝の心が、君をここまで押し上げた原動力なんだろうね。
おかあさん、すごく喜んでくれただろうね。

卓人、残念。でも、仕方がないこと。
バックアップとして、胸を張って、五輪代表チームに同行して欲しい。
きっと、大きな成長の糧となる。
それに、君は大きな財産をすでに得ているじゃないか。
最終予選全試合出場、という財産を。


そして、カズ。
小野は、五輪に出ていない。
久保も、五輪に出ていない。
名波も、五輪には出ていない。
要は、そういうことだ。

「僕に実力が足らなかった」と話した時の君は、
とてもすてきな瞳をしていた。
「五輪なんて早く終わってほしい」と口にした時の君は、
怒りの胎動を力に変える力強さがあった。
勝負は、これから。
まずは、サンフレッチェを優勝できるチームに、
君が導いてほしい。
できる力があるからこそ、お願いしている。

カズ。サポーターはみんな、君を信じている。


---アテネ五輪日本代表----

GK 1   曽ヶ端 準 鹿島アントラーズ
GK 18 黒河 貴矢 清水エスパルス
DF 2 田中マルクス闘莉王 浦和レッドダイヤモンズ
DF 3 茂庭 照幸 FC東京
DF 4 那須 大亮 横浜F・マリノス
DF 15 徳永 悠平 早稲田大学
DF 12 菊地 直哉 ジュビロ磐田
MF 8 小野 伸二 フェイエノールト(オランダ)
MF 7 森崎 浩司 サンフレッチェ広島
MF 10 松井 大輔 京都パープルサンガ
MF 14 石川 直宏 FC東京
MF 13 駒野 友一 サンフレッチェ広島
MF 5 阿部 勇樹 ジェフユナイテッド市原
MF 6 今野 泰幸 FC東京
FW 9 高松 大樹 大分トリニータ
FW 16 大久保 嘉人 セレッソ大阪
FW 11 田中 達也 浦和レッドダイヤモンズ
FW 17 平山 相太 筑波大学


バックアップメンバー
GK 22 林 卓人 サンフレッチェ広島
DF 21 北本 久仁衛 ヴィッセル神戸
MF 20 前田 遼一 ジュビロ磐田
FW 19 坂田 大輔 横浜F・マリノス

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Comments

記事読ませていただきました。
私がサンフレッチェを好きになったのは最近で、サンフレッチェのこれまで歩んできた歴史というのはまだまだ知らないことだらけなのですが、今回の記事を読んで、改めて、チームだけではなく選手一人一人に語り尽くせない歴史があることを感じました。たくさん苦しんだからこそ選手の言葉には重みがあるのかもしれませんね。また、周りからは明るい部分ばかりが見えがちですが、中野さんのような近くにいる方にはきっと選手の苦しみなどたくさん見えたことと思います。
サッカー選手という職業は普通の職業に比べて運がモノを言います。努力ももちろん必要ですが、その先はいかに小さなチャンスで自分を売り込むか。そういう意味で、今回選ばれた2人はドイツへ向けて、サッカー選手として大きなチャンスをつかんだわけです。ただしこれはまだチャンスであって、だたの通過点でしかありません。ここで甘んじることなくアテネでさらに大きく成長してきてほしいです。
また、中野さんも書いていましたし、山本監督も記者会見で言っておられましたが、このアテネ五輪の切符を得るまでに60人以上の、そしてアテネを目指した選手は何百人にも上るでしょう。その中からの18人(バックアップを入れると22人)というのは本当に小さな数です。きっとケガをするタイミングやコンディションが少しでも違えばガラリと違うメンバーが発表されていたかもしれません。だからこそ選ばれた選手は選ばれたことを重く受け止め、選ばれなかった選手は気を落とすことなく次の目標へ向かって行かなければなりません。
そしてサンフレッチェの選手がA代表として活躍するためには、サンフレッチェが優勝を争うようなチームになることが必要だと思います。優勝を争うことで、精神的にも肉体的にも強くなれますし、何より注目度が上がることで普段の試合をより大きなアピールの機会にすることができます。2006年ドイツW杯でサンフレッチェの選手が活躍することを祈っています。

Posted by: あさこ | Saturday, July 17, 2004 at 21:08

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