サテライト:広島1-1神戸
立ち上がりの広島は、ほとんどが盛田の頭にあわせるロングボールばかりで、まったく創造性に欠けるゲーム展開だった。それは、開始早々に起こった右サイドバック・青山のアクシデント(左膝の故障、詳細は不明)による動揺がチームにあったのかもしれない。かわりに入ったユースの2年生・遊佐は、もともとはボランチの選手。破綻のないプレイを心がけていたのだが、かわりに驚きもないプレイに終始。ただ、本来の位置ではないだけに、かわいそうではあった。
一方の神戸は、ホルヴィが調整出場。やはり、彼は一級品だ。すべての面で格が違う。立ち上がりから、そのホルヴィを起点とした神戸の攻撃に、ピンチの連続。28分、ホルヴィのFKから平瀬のヘッドにあわせられたボールは、ゴールポストを直撃する。このシュートが入っていれば、この試合は大敗する可能性もあった。
トップ下に入ったホルヴィとマッチアップするのは、この日アンカー・ボランチに入った高萩洋次郎。前半はホルヴィのボールまわしをまったく抑えることができず、攻撃の起点になるどころではなかった。彼がどれだけ多くボールに触れるかがこのチームのポイントとなるのだが、ホルヴィはしなやかかつ強い身体を利した動きで高萩を圧倒し、決して運動量は多くはないのだが、ツボをつかんだポジションどりでいつの間にかフリーになってしまう。このままでは「いい経験をした」というレベルで終わってしまうのか、と思った。
しかし、後半。高萩は、そして広島は立て直す。最終ラインからのロングボールが多かった展開から、高萩が積極的にボールをもらいにいくことで、展開が中盤のパスワークが中心となる。そこに前半からいい動きをしていた桑田が絡むことで、決定的なシーンもつくれるようになった。57分の桑田→盛田スルー→木村→ジョルジシュート。61分の高萩スルーパスから桑田飛び込み。64分の高萩FK→田中飛び込み。69分の盛田→桑田→高萩ミドル。怒濤の攻撃が神戸を襲う。それは、前半、ほぼ何もできないに等しかった高萩を起点にしたものだった。
この間、ホルヴィはほぼ消えていた。高萩の自在のパスワークは、彼の運動量低下によるものだったが、それも見方を変えれば高萩が攻勢に出ることによって、彼にプレイさせなかった、とも言える。サッカーとは相対的なスポーツ。一方がよくなれば、それに対峙する方は、必ず苦しくなる。
とはいえ、神戸の先制点は、そのホルヴィからだった。彼の左足からの精度の高いFKを平瀬が折り返し、最後は石澤が押し込む。残り10分という時間帯からして、このゴールは致命傷か、と思われた。
広島は、この日トップ下であまり機能しなかった田中にかわり、ユースの福本を投入。桑田をトップ下にの起用して攻撃にでる。しかし、81分の高萩→ジョルジシュート、さらに85分の遊佐クロス→ジョルジヘッドは、共に決定的なタイミングだったが、枠を外れる。神戸の守備は固く、広島にもその固さを引きはがす勢いが足りないように思えた。
ロスタイムが1分をすぎた時、広島は相手陣内でFKをえる。距離にして35m、最後のプレイだ。神戸は一人退場し、さらに時間稼ぎで選手を交代させる。さらに、「ロスタイム2分なのにもう4分たった」などと、レフェリーにヤジを飛ばした。その4分中3分は、退場と選手交代に費やされ、当然時計は止まる。つまり、神戸ベンチの采配はロスタイムを引き延ばし、それによって、広島イレブンに考える余裕を与えた、という両面で、裏目だったのだ。
FK。高萩が蹴るふりをして右サイドに走る。その走った先にジョルジーニョが正確にパスを出す。高萩クロス。神戸のDFが手ではじいたように見えたが、判定はノーファウルでCK。ジョルジーニョが走ってボールをセットし、CK。左足で巻いてきたボールを、高萩が頭一つ飛び抜けた高さであわせ、ゴールネットを揺らした。そして、そのまま試合終了のホイッスルを聞いたのである。
この試合は、ナビスコカップのメンバー入りに向けてのアピール、という側面もあった。そういう意味で言えば、トップチームでやらせてみたい、と思わせた選手は、決して多くない。それぞれ可能性は感じるが、今のトップメンバーに伍してやれるトータルパフォーマンスを見せた選手は、あまりいなかった。
そういう中で、あえていえば、90分間安定したパフォーマンスを見せた桑田と、そして後半の高萩、くらいか。が、小野監督は、たった一度いいパフォーマンスを見せたからといって、安易にピックアップはしない。この1週間、火曜・水曜の練習でのパフォーマンスが、とりわけ重要になる。そこでぜひ結果を出し、週末へのチャンスをつかんでほしい。

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